補足:無自覚カップルから二年後くらい。
ジョミーとブルーは晴れてカップルとして成立してます。
キースは転校生。
「ジョミー・・・」
「なに、ブルー」
「僕のこと好き?愛してる?」
「うん」
「ちゃんと言って」
「好き、愛してるよ、誰よりも、何よりも、ブルーのことを」
ボギッ。
何かが、小気味良く折れる音がした。
サムがその音がした方を見ると、キースの持っていた箸が、見事真っ二つに折れていた。
まだ弁当の中身は三分の一程度残っている。
キースはその折れた箸で、この残った弁当をどう食べるのだろうかと、サムは少しずれたことを思った。
「ふふ。
ジョミー、君は言葉一つで、僕の心をこんなにも暖かく照らすことが出来る。
まるで太陽みたいだ」
「僕が太陽なら、ブルーは月だね。
ブルーの笑顔はまるで、銀色に輝く月の光のよう。
僕に優しく降り注ぐ」
そう言って、ジョミーは、柔らかく微笑むブルーの頬を、両手でそっと包みこむ。
ジョミーは、ふわりと微笑んだ。
額がコツリとぶつかりそうなほど、二人の顔が接近し、互いに浮かべた笑みをうっとりと見つめ合いながら、ジョミーは囁くそうにブルーに告げる。
「嗚呼。
僕を、魅せてやまない」
ベキッ。
何かがひび割れる音がした。
今度は何かしらと、スウェナがその音がした方見ると、キースが持っていた弁当箱に、見事なひびが入っていた。
開け放たれた教室の窓から見える空は、雲ひとつ無い綺麗な青空。
パタパタととカーテンをはためかせながら入ってくる風は心地よく、ふわりとスウェナの髪を、優しく撫でて行った。
姿は見えないが、チュンチュンと可愛らしい小鳥の囀りが時折聞こえてくる。
そんな、のどかなランチタイム。
・・・なはず。
「月ならば、太陽が無ければ輝けない。
ジョミー・・・ずっと僕と共に居てくれるかい」
「もちろん。
どんな事があっても、必ず傍に居る、例え嫌だと言われても」
「嫌だなんて、僕はそんなこと、決して言わないよ」
キースは今、生まれて初めて鳥肌が立つ、と言う状態を経験していた。
目の前の二人から、ピンク色のオーラが、発せられているのが見えているのは、気のせいだろうか・・・。
いいや、気のせいじゃない、確かに見える。
しかもピンクもピンク、蛍光ピンクのオーラが、キースの眼には今確かに見えていた。
二人は今にも、キスでもしてしまいそうな雰囲気だ。
・・・・恥ずかしい奴らだな。
右手に折れた箸、左手にヒビの入った弁当箱を持ったキースは、柄にも無くキョロキョロと周りの眼を気にしてみたりしてみた。
予想に反して、周りのクラスメイト達はいたって普通に談笑しながら弁当を食べている。
・・・・・・。
・・・・何故、何故だ?何故この蛍光ピンクな惨状を前に皆、平然としていられる?
「ブルー・・・」
「ジョミー・・・」
再び、ぞわりと寒いものが背筋を駆け抜けていく。
弁当の中にも、飲み物も、甘い物は何一つ入っていない筈なのに、口の中が妙なくらい甘ったるい気がする。
何故!?
「サム、スウェナ・・・」
転校してきて、すぐに親しくなった二人を、キースは縋るような眼で見た。
「幸い、人と言う生き物は、どんな過酷な状況にも、順応していける生き物だ。
大丈夫、キースもいずれ慣れるよ」
「ええ、私達どころか、クラス中が気が付けば、この状況に慣れてしまったわ。
不思議なものね、初めはあんなにもウザかったのに」
そう答えた二人の顔は、いっそ清々しいまでの笑顔だった。
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